ラノベ評価
タイトル | プロジェクト・リムーバー |
作者名 | 篠崎砂美 |
イラスト | 木村明広 |
レーベル | 電撃文庫 |
巻数 | 全3巻 |
発売年 | 1997.11〜1998.10 |
内容 | 2038年、テロが多発する東京に、アメリカから一人の科学者が帰ってきた。 彼の名は風間基樹。EXEF社で進む超極秘プロジェクト、ヒューマノイド型汎用ロボット・ムーバー開発のために呼び戻されたのだ。 基樹はたったひとりの肉親で最愛の弟・敬介と久しぶりの対面を果たしたものの、仕事に追われ、兄弟の溝は広がるばかりであった。そして――。 科学者たちの夢であり、技術の結晶であるムーバーが人の心を備えて誕生したとき、それは哀しい物語の始まりでもあった。 爆音響く近未来の東京を舞台に、メカ・アクション巨編ここに発進! |
感想 | 初めに一つ言っておきたい。 この作品は、どっからどう見ても人間そっくりメカ少女とにゃんにゃんしようポロリもあるよ、な腐乱小説…………では断じてない。 そんなものを妄想する脳みそは臭いだけなので焼却することをここに強くお勧めする。 アクションの主役として人型ロボット、それも人間大でメカメカしいロボットが出てくるライトノベルと聞いて、すぐ思いつく作品は何であろうか。 私が知らないだけという可能性は否定できないが、私はこの作品くらいしか思いつかなかった。 最近のメカものの主流は、人間そっくりなのに人間とすべてが同じではない(恋愛できない、寿命が異なるなど)という葛藤がメインに描かれるからであろうが、それならばメカでなくとも異質な存在であればぶっちゃけなんでもいい。 つまり、記号としてメカ○○という存在が欲しいだけなのだろう。 さて、これだけしっかりと設定が練られたロボットメインの小説は非常に珍しい。 それは偏に舞台背景が膨大なものになるからであり、特に小説の場合テキストによる表現が大半なため、違和感を生じさせず飽きさせない文章を書くには並大抵ではない苦労が必要だからであろう。 その全てをクリアして三巻と長すぎず短すぎずできれいにまとめられているこの作品、文章に花を添えるイラストもメカメカしいロボットが格好良く、ページをめくる手を加速させる。 以上、全てが高いレベルで調和した一読の価値あるラノベである。 ブラヴォー。 |
評価 | 文章力 ★★★★☆☆ 独創性 ★★★★★☆ スケール★★★☆☆☆ イラスト ★★★★★☆ |
おすすめ度 | ★★★★☆☆ |